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■プロフィール
1951年生まれ。早稲田大学政経学部経済学科卒業。公認会計士資格を保有。1975年アーサーヤング会計事務所(現 新日本監査法人)に入社。1986年シェアソン・リーマン・ブラザーズ証券会社(現 リーマン・ブラザーズ証券会社)経理部長、1989年フィリップモリス・ジャパン株式会社のコントローラーを経て、1990年日本トイザらス株式会社CFOに就任。1997年サンゴバン・ノートン株式会社セラミック事業部コントローラー、1999年エレクトロニック・アーツ・スクウェア株式会社(現 エレクトロニック・アーツ株式会社)CFO、2000年タイコエレクトロニクスアンプ株式会社でアジア地域コントローラーおよびM&Aディレクターを歴任。2002年ブルーベル・ジャパン株式会社で管理本部長、2003年インガソール・ランド株式会社でコントローラーを経た後、2004年ディック・マンローランド株式会社にCFOとして入社。病気治療のため退職し、2005年9月、株式会社GCIキャピタル社長の要請をうけ、子会社の株式会社FXCMジャパンCFOに就任、現在に至る。


 当時、海外旅行はまだ珍しく、初めての海外旅行がドイツ赴任でした。自分から行きます、と手を上げたんですよ。まだ29歳の若さでしたから、こわいという気持ちはありませんでした。ドイツに行ってからこわくなりました。私にとっては全てが“はつものづくし”で、アウトバーンでスピードの差に怖気づきバックしたこともありましたよ。
 ドイツでは、監査というより、まず日本企業の顧客を増やすことが使命でしたが、結局6ヶ月の間1つも契約が取れませんでした。開き直って必死で新聞を読んで、ドイツ語を勉強しましたね。7ヶ月後にやっと1社取れ、3社目の日本ビクターの工場の大きな案件を成功させたことで、周囲に認めてもらえるようになりました。当時、他の監査法人は英語を使って間接的に関与していましたが、私はドイツ語という強みがありましたから、直接、州政府とかけあったり、税務監査に立ち会ったりしてドイツ人社会にネットワークが築けました。それに加え、ドイツ語で雑誌やニュースを読んで情報をいち早く顧客に提供して、他との差別化を図ったことが、4年間で35社の新規顧客が開拓できた成功の理由でしょうね。


 日本マクドナルドが出資者で、当時のカリスマ社長藤田田氏とトイザ“ら”スのアメリカ本社の社長と面接し、日本トイザ“ら”ス第一号社員となったわけですが、CFOとして経理財務のほか、人材確保、総務、ITシステムのカスタマイズ、メーカーや銀行との交渉などあらゆることをこなしました。店に置く2万種類のおもちゃの流通システムが日本になく、カナダとイギリスからシステムを輸入しそれをカスタマイズしたりもしました。日本トイザ“ら”スは日本で最初の大型チェーンで、メーカーとの直接取引が強みでしたが、当時はまだ問屋経由の時代で直接取引にはものすごく冷たかった。結局、バービーなど外国の玩具を並べましたが、それが逆に新鮮に映ったようです。 1号店オープンの時は社員総出で開店前夜まで陳列や飾りつけを行いましたが、当日は店から高速道路まで車がつながり、冬でも冷房を入れるほどの盛況ぶりでした。


 表面は華やかに見えたでしょうけど、実をいうと3年間赤字が続きました。3年目にアメリカの本社で赤字の予算のプレゼンをしたら、「こんなの受け入れられない。絶対黒字の予算をだせ」と言われまして。どうにか黒字の予算を提出して、やっと帰れましたが、飛行機の中で社長と二人、来年のクビを覚悟しました。それからは必死になってコスト削減や売上げ増に努めましたね。

 それから、一番私が貢献し、また苦労もしたのが店舗候補地選定についてです。出店したものの失敗も多くあったので、既存店舗の売上げを分析したり、地域特性を考慮したりして、独自のロケーション選定システムを作りました。当然、店舗開発部という出店のプロもいたので最初は粘り腰での主張でしたが、そのうち私の年間売上げ予想が当たるようになり、候補地選びにも主導的に関与しました。このほか、ERP(Effective Labor Planning)を確立し、様々なコストカットを行って、売上げが50%ダウンしても採算の取れる店舗のみをCFOとして承認しました。結果、利益はどんどん上がりましたが、やはり、CFOとして、皆の目標を一つにしてコントロールする機能はとても大事だと実感しましたね。


 まず、会社の方向性・目標を定めて、社員も部門もそれにあわせることが必要です。それが一致するようにCFOとして提言し、その夢と3年後を考え、実現のためにどんな戦略をとるべきなのかを明確にします。そうすればどのようにサポート・情報を提供し、コントロールするべきか判断できます。
 また、予算というのは会社の戦略や戦術が裏づけされてないといけません。夢を語る会社は多いけれど、実効的な戦略が明確でない会社が多い。予算と戦略・戦術が結びついていれば、実績とのずれや戦略が変わった時も、いち早く納得できる修正フォーキャストが作成できます。全ての戦略で数字を固め、結果・実行に対してコミットメントが必要です。ただし、予算に執着しすぎない、ということも重要。リストラなどを行って利益へのコミットをとるか、一時的に利益ダウンをしても会社の足腰を固めるほうをとるか、そこはとても難しい経営判断です。


 サンゴバン・ノートン、タイコ・エレクトロニクスで経験がありますが、やはり最初の買収が印象的ですね。第三者として出した買収価格と、会社の算定価格の間には2割の差があって、交渉が難しい相手に一人で説得しに行ったり、何社かある被買収会社の株主を説得するのにも苦労しました。タイコ・エレクトロニクスでは、台湾や中国の会社も含め、年間100社買収をしていました。買収の中では価格決定も大切ですが、インテグレーションも実は重要なんですよ。ただ、計画通り進めるには相当の経験やノウハウが必要。買収初日から被買収会社が機能しなければなりませんので、契約から買収に至るまでの1ヶ月間はシステム交換や人的問題など準備が大変でした。


 病気のリハビリ中なので、体力を必要とするCFOになる自信はなく、監査役含みで入社しました。ただ、入社後すぐに大きな懸案事項を解決したため、社長からCFOになるように要請されて、現在は3ヶ月限定で引き受けています。業務としては予算管理やコントロールのノウハウなどを指導しています。


 1番に“正確性”、2番に“分析・計画・コントロール”、3番に“マネージメント”ですね。多くのCFO・コントローラーは、1番目の“正確性”を意外と見落としがち。売上げや費用などの会計の精度が悪いと、分析もできませんから、私はそのデータが正しいかどうかから、チェックを始めます。残念ながら、それはどの会社でもおろそかにしている部分でした。2番目、3番目では誰でも思いつくからこそ、データの精度が大切なのです。

 スキルとしては制度会計、税務の習得はかかせません。そうすれば費用・コストの発生態様もわかり、経常費用の推定や最善推定での引当ても分かってきます。また、ビジネスマインドも要求されます。どうやって利益を上げるか、各ビジネスモデルは有効に確立しているか、マーケティングは有効か、ITシステムはビジネスをリードしているか…などを考えることが必要でしょう。